円形脱毛症と鍼灸

円形脱毛症とは

 

円形脱毛症は、ある日突然、頭皮の一部の毛髪が円形あるいは楕円形に抜け落ちることで始まる脱毛症です。通常は「10円玉大」ほどの脱毛斑(抜け毛の“ハゲ”)ができることが多く、最初はそのような小さな脱毛から始まります。ただし、症状の進行には個人差があり、単発で終わる軽度のケースもあれば、時間とともに脱毛斑が増えて重症化する場合もあります。頭髪だけでなく、眉毛・まつ毛・体毛などにも影響が及ぶこともあります。
このような「ある日突然」「円形に抜ける」という見た目の変化が特徴であるため、脱毛症の中でも比較的認識されやすいタイプのひとつです。

 

円形脱毛症の症状

 

円形脱毛症の典型的な症状は、先にも述べたように「円形または楕円形の脱毛斑」の出現です。最初はひとつだけのことが多く、やがて複数になったり、拡大したりすることがあります。また、脱毛が頭皮に限らず、まゆ毛・まつ毛・体毛・陰毛などにもおこることがあります。重症化すると、全身の体毛が抜けるタイプ(汎発型)に移行することもあります。

皮膚の見た目としては、脱毛斑の皮膚は通常の皮膚と変わらず、一見すると異常がわかりにくいことがあります。しかし毛根の活動が停止あるいは妨げられ、毛髪が抜け落ちやすくなります。精神的にも大きな負担になりやすく、「見た目の変化」や「再発の不安」、さらには「抜けた髪が戻るかどうか分からない」という心理的ストレスを抱える人も少なくありません。

 

円形脱毛症と西洋医学

 

西洋医学では、円形脱毛症は現在のところ「原因そのもの」を完全に取り除く根本治療は確立されていません。最も有力とされているのが「自己免疫疾患」の可能性です。体の免疫が、何らかのきっかけで毛根を異物と誤認し攻撃することで、毛包が破壊され、毛が抜け落ちると考えられています。

実際の治療としては、脱毛斑が比較的小さな単発型や多発型に対して、局所的なステロイド注射がまず検討されます。また「局所免疫療法(薬剤で頭皮に刺激を与える方法)」なども選択肢になります。ただし、これらはいずれも「脱毛の進行を止めたり抑えたりする」治療であり、「必ず再発しない」「永久に治る」といった保証はありません。実際、治療後に再び脱毛を繰り返すケースも報告されています。

また、こうした治療では皮膚の委縮や副作用の可能性も無視できず、特に長期のステロイド使用には注意が必要です。

 

東洋鍼灸による円形脱毛症ケアについて

 

円形脱毛症に対しては、頭皮そのものへの刺激だけでなく、心身の状態を総合的に整えていくことが大切とされています。
そのため、近年では 東洋医学の考え方を取り入れた鍼灸ケア を選ぶ方も増えています。

鍼灸では、頭皮の状態だけを見て施術するのではなく、肩・首・背中のこわばり、全身の巡り、ストレスの影響など、さまざまな要素を丁寧に確認します。
そのうえで、血行を整えたり、ストレスによる負担を和らげたり、自律神経が過敏になりやすい方のケアを行ったりと、“髪が育ちやすい土台づくり” を目指します。

さらに、鍼灸の特長として、薬を使用しない方法で体の回復力を引き出していくという点があります。
薬の副作用が気になる方や、負担の少ないケアを希望される方にとっては、取り入れやすい選択肢となりやすいようです。

ただし、円形脱毛症は状態や背景が人によって異なるため、鍼灸の合う合わないには個人差があります。
そのため、施術を受ける際は、経験のある施術者に相談しながら進めていくことがとても大切です。
身体の様子をしっかり確認してもらうことで、より自分に合ったケアの方向性が見えやすくなります。

 

鍼灸は心身の負担が少なく、自然なアプローチを好む方に向いた方法です。
「薬以外の選択肢も知りたい」「体全体を整えながら髪のことも考えたい」という方には取り入れやすいケアとしておすすめできます。

 

お気軽にご相談ください

 

当院では、患者さまの症状や状態を総合的に評価し、最適な治療プランを提供します。鍼灸治療を含むさまざまなアプローチを用いて、患者さまの症状の緩和や生活の質の向上に努めます。頭皮鍼の専門的な知識と経験豊富なスタッフが、患者さまの健康をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。